COLUMN

「住む」と「働く」が共存する家

こんにちは、ディレクトです。

コロナ禍による生活環境の変化で、今年ほど「住まいの在り方」について考えさせられたことはなかったかもしれません。

お客さまとお打ち合わせをしていても、例年以上に書斎やワークスペースにこだわりを持って計画される方が多いと感じています。

そうでなくても、情報機器の発達により個人が気軽に開業できたり、フリーランスのような「雇用されない働き方を選ぶ人が増え、住宅の一角に店舗や事務所スペースを構えたいというご相談も増えています。

多様で柔軟な働き方を選択できる現代は、「住むこと」と「働くこと」の境界線が薄れてきているのかもしれません。

店舗併用住宅」は、まさに「住む」と「働く」を共存させた住まいです。

ディレクトでは、創業当時から美容室やサロンを経営されるお客さまの「店舗併用住宅」を手掛けてきました。

店舗併用住宅を設計する場合、住宅のみを造るのとは違って専門的な知識が必要となります。

例えば、弊社の店舗案件で多い美容室併用住宅の場合、セット面との距離感、水圧、熱源の種類、明かり、配置、部材の耐久性、建築上の法規…など、挙げればきりがありませんが、経験がないとスムーズに進めることはできません。

「『住む』と『働く』のどちらも快適に過ごせる空間を作りたい」という、多くのお施主さまのご希望を実現できたのは、これまでの“経験の数”だと思います。

多くの失敗もありましたが、その経験の蓄えがあるからこそ、守りの設計・施工ではなく、お客さまのご希望を叶える「攻めのご提案」ができるのです。

店舗併用住宅設計の経験から、「住む」と「働く」を穏やかにすみ分けるには、「空間の距離感が大切だと考えます。

住居と店舗の距離感をより広く保った方が、気持ちの切り替えがしやすくなります。

例えば、1階が店舗で2階が居住空間の場合、接客中に子どもの足音などの生活音が気になることがあります。

特に、コロナ禍で自粛を余儀なくされた時や夏休みなど、家族が自宅に居る時間が増えれば増えるほどストレスを感じやすくなります

この改善案として考えられるのが、店舗は平屋にして、居住は廊下を隔てた場所に配置した設計など。

このような建物は、建築費としては少し高くなる傾向がありますが、家族の生活音や気配が気にならない「住みやすさ」が手に入ります。

店舗併用住宅のアイデアは、一般住宅設計のヒントにもなります。

家にいる時間が多くなった今こそ、居住空間も自分のスタイルに合った場所をデザインすることで、「住む」も「働く」もどちらも充実した生活を送ることができるのではないでしょうか。